東京アスリート認定選手・インタビュー(45)清水啓輔選手(板橋区) ビーチバレーボール(2019/3/15)

清水啓輔選手の写真
【プロフィール】
  • しみず・けいすけ 1987年9月5日生まれ。社会福祉法人ひまわり福祉会所属
  • 2016年 JBV チームランキング 1位
  • 2017年 第72回 国民体育大会 準優勝
  • 2017年 JBV チームランキング 4位
  • 2018年 JVAカップ 準優勝
  • 2018年 第18回 アジア競技大会 日本代表
  • 2018年 第73回 国民体育大会 3位
  • 2018年 JBV チームランキング 2位
  • JVA オフィシャルランキング 5位(2019年1月現在)
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学童クラブで子ども達に関わる仕事をしながら、さらなる高みへと日々邁進するビーチバレーボール(※)清水啓輔選手。日本トップクラスの現役プレイヤーが、来たる大舞台を見すえて伝えたい競技の魅力に迫りました。
※以下「ビーチバレー」という。


「悲願のオリンピック出場に向かって
ビーチバレーの醍醐味をより多くの人々に」

〜オリンピックまであと1年半、このタイミングで「東京アスリート認定選手」に認定されていかがですか。〜

清水啓輔選手の写真2

4月後半から約半年にわたって続く国内ツアーはもちろんのこと、今年はすでに始まっているワールドツアーにもどんどん出場して行って成績を残していきたいなと思っています。去年は、怪我で出場できなかった大会もあった中、海外の大会にも4、5大会はエントリーできましたし、チームとしてのランキングも全体の2位とまずまずです。せっかくこうして「東京アスリート認定選手」にも選んでいただきましたし、その期待に応えるという意味でも、ここからの1年半でさらに上へと行けるよう、精一杯がんばるつもりです。


〜清水選手を含めビーチバレー選手の多くは6人制バレーボール(※)の経験者でもあるとのことですが、ご自身が種目転向を決めたきっかけというのはなんでしょう。〜

※以下「6人制」という。

大学生の時に先輩から誘われてビーチに行ったのが最初です。僕自身、中学生から大学生までずっと「バレーボール漬け」でやってきたものの、その頃は試合に出たり出られなかったりの状態が続いていて……。その点、ビーチバレーでは、誰かとペアを組んで一度エントリーしてしまえば、試合には絶対出られるし、途中で交代させられることもありません。当時の僕にとっては、それがすごく魅力的でした。


〜同じチームであっても、より実力で勝負ができるということですね。〜

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そうですね。自分たちの力だけで勝負ができるうえに、強くなればオリンピックという未来もあります。それが「試合に出られたら、もっと力を発揮できるのに……」と悶々としていた自分の気持ちともフィットしました。2人だけで戦うとなれば、戦術ひとつをとっても6人制とは大きく変わってきますし、自分にかかる比重が大きくなる分、体力的にも精神的にもかなりキツいです。でも、実際にやってみると、そこにこそ面白味があって、自然と「これだ!」と思えました。


〜6人制との大きな違いは、具体的にはどんなところでしょう。〜

ルールはほぼ同じですが、砂の状態はもちろん、天候や風によってもコンディションは左右されますし、基本的には相手との作戦を読み合う心理戦でもあるので、1試合のなかでも戦術は目まぐるしく変わります。初心者にはちょっと難しいかもしれないですが、前にいるブロッカーが後ろのレシーバーに出すサインの意味がわかってくると、すごく楽しんでもらえるんじゃないかな、と思います。序盤は打たせていた場所のボールを、終盤はあえて拾いに行くとか、相手がスパイクを打つ瞬間にコースを読んでポジションを変えるとか、そういった試合中の駆け引きにこそ、ビーチバレーならではの「戦略」と「戦術」の面白さはあると思います。


〜日本人選手と世界のトッププレイヤーの間にある「差」は、「戦略」や「戦術」にもありますか。〜

そうですね。データ分析を担当するビーチ専門のアナリストがいなかったり、そもそものマンパワーが足りていなかったり、他の強豪国と比べて遅れている部分はまだまだたくさんありますが、一番はやっぱり個々の選手の「観察力」だと思います。トップクラスの選手になればなるほど、相手をよく観て考えていると感じます。「このシチュエーションなら相手はこのプレーしかできない」とか「この場所にプレッシャーをかければ、間違いなくここにボールを打ってくる」といった予測が瞬時にできて、動きの精度もなおかつ高い。こっちがその戦略にハマってしまった時は「ボールを打てる場所がない」って感覚にすらなります。


〜とはいえ、オリンピックを目指すとなれば、そういった強豪選手との対戦も避けては通れないということですね。〜

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そうですね。本当なら「常にアジアではトップ」と言われるぐらいのレベルにはいなきゃいけないと思っていますが、とくに男子はそのアジアのなかでも勝てなくなっているのが実情でもあるので、よりいっそう自覚をもって精進していきたいと思っています。去年出場させてもらったアジア大会では、2試合ともに敗れはしましたが、格上のチームを相手にフルセットまで持ちこめて、負けた悔しさの反面、「勝てる試合だった」という手ごたえもつかむことができましたし。


〜ご自身の中でも成長している実感があったのですね。〜

相手は中国とイランのチームで、2戦とも2点差で負けたのですが、ひとつひとつのプレーの精度を上げていけば、負ける試合ではなかったな、と思えました。中国のペアは2人とも身長2m超でしたし、海外に行くと僕らは女子選手より小さいから「君はコーチか?」とよく言われたりもします(笑)。たとえ体格差では敵わなくても、技術と精度さえ向上できれば、僕らなりのアドバンテージは作っていけるということを実感できただけでも、すごく収穫はありました。


〜技術面では、6人制での経験も繋がっていきますか。〜

日本では体育館でするバレーボールがまだまだメインですが、ジュニア世代の頃からこんなにもしっかりとした練習をさせる国って、強豪国でもそうはないので、そこで培われた技術の高さは間違いなく強みになると思います。ただ、ことビーチバレーにおいては、新しいものや考えをどんどん取りいれていける柔軟性こそがモノを言います。実戦に使える「観察力」を磨くためにも、今後はいかに自分で考えてやれるか、という部分もすごく重要になってくる気がします。


〜戦っていくうえでも「誰と組むか」はかなり重要だと思いますが、ペアというのは通常どのように決めているのですか。〜

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選手同士の個別のやりとりですね。こちらから「組みませんか?」とオファーした相手が、違う選手へのオファーの返事待ちだったりすることもあるし、その逆もあります。そこにそれなりの技術の高さと、海外の大会を転戦できるだけの金銭的な体力まで要求されてきますから、なかなか一筋縄ではいかないです。シーズンオフが近くなると、同じような立場の選手同士で「あそこはもうすぐ別れそうだね」みたいな会話もよくしますから、それこそ「恋人探し」と似たようなものです(笑)。


〜確かにマッチングは大変そうですね。〜

スタッフがいる人はいいですが、僕らは専属のコーチもいない状態なので、飛行機も宿も全部自分で手配して、選手2人だけで移動、なんていうバックパッカーみたいなことも普通にあります。それが行ったことのない国だったりすると、それだけでも相当な負荷になってきます。そういった物理的な体力に、同じ目標・想いをもってやれるかといった必須条件も加味したうえでの「恋人探し」ですから、僕らにとってはなかなかデリケートな問題でもあるんです。


〜休みの日はどんなことをして過ごしていますか。〜

ほぼ毎日練習しているので、日常的な「休日」は実はあんまりありません。もちろん「疲れたな」ってときは休みを入れたりもしますけど、そういう時は本当に休息したいから、どこかに遊びに行くとかもしないです。なので、東京でよく行く場所は板橋の職場か、蒲田にあるトレーニングジムですが、息抜きとして『しながわ水族館』には行ったことがあります。


〜では最後に、これからビーチバレーに触れる読者にひと言をお願いします。〜

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プロを名乗っているからには、たくさんの方に試合を観に来ていただけることが何よりなので、まずは観に来て、知ってもらえたらと思います。去年の国内ツアーのファイナルは、会場が大阪駅前のグランフロントに作った特設コートだったこともあって、2日間で28000人近い人が集まったのですが、会場によっては集客もまだまだだったりしますし、そこはどうにか増やしていけたらな、と思っています。お客さんがたくさん来てくれた方が僕たちとしても励みになりますし、オリンピックに向けて立派なスタンドを作ってもらう以上は、客席も「初めて観る」より「観たことがある」お客さんで埋まってほしいですからね。

「風がない分海よりはマシだけど、冬の練習はとにかく寒い」とこぼしながらも、普段は他の強化指定選手らとともに、世界大会適合コードをもつコートを拠点に汗を流している清水選手。語り口こそフランクではあったものの、ビーチバレーに賭ける想いは真剣そのもの。その眼差しには来たる大舞台がしっかりと映っていました。

試合情報
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